HOME > Microsoft MVP Voice 溝端二三雄氏が語る『Excel Connector / Integrator』

既存のOfficeクライアントと基幹システムとの連携を、ノンプログラミングで実現する「Excel Connector / Integrator」に、大きな可能性を感じています。

企業情報システム構築においては、基幹システムへどのようにデータを入力するか、また基幹システムからどのように出力してどう表示するかは大きなポイントとなります。入力にしろ出力にしろ、これまではユーザーインターフェースの開発が不可欠で、ここに多大な工数がかかっていました。

これを解決すべく登場したのが、マイクロソフトのOffice Business Application(OBA)です。OBAは、基幹システムと、使い慣れた Officeユーザーインターフェースからそれらのシステムを利用するユーザーとを結びつけるものです。OBA によって、企業は ERPなど基幹システムを利用して実行しているビジネスプロセスに、Officeクライアントおよびサーバーを組み込むことができるようになります。

ただ残念ながら、現状でこれがそのまま適用できるのは、Officeクライアントのバージョンが2007の場合に限ります。それ以前のOfficeクライアントが利用されているケースでも、2003以降で利用できるXMLマッピングやWebサービスを利用することで基幹システム連携は実現できます。しかし、そのときには少なからぬプログラミングプロセスが発生してしまいます。

そうした中、プログラミングを一切行わず、ユーザーのワークスタイルもまったく変えずに、Excelでの基幹システム連携を可能にするのが「Excel Connector / Integrator」で、これは企業の情報システム環境にとって大きな福音となるソリューションです。Excelのバージョンも97から対応可能ですから、今日のシステム環境の現実に即しており、過去にExcelで開発された帳票資産の活用にも道を開きます。

また、このソリューションにはユーザー認証というセキュリティ上重要な機能があり、Excelファイルの作成者情報をActive Directoryと連携させることで、データの正当性を保証する処理を組み込めるのも画期的だと思います。

欲をいうならば、将来的には「Excel Connector / Integrator」がWCF(Windows Communication Foundation)対応を果たしてほしいですね。そうなれば幅広いWindowsアプリケーションとの連携が可能になり、活用フィールドがさらに広がることでしょう。

溝端二三雄氏 プロフィール

株式会社クリエ・イルミネート
代表取締役社長
Microsoft MVP BizTalk Server


1995年MCTとして初めてマイクロソフトの認定教育を行った当時、ルーターなどのネットワークエンジニアだったが、ディレクトリーサービス、セキュリティそして.NET開発と様々な分野を渡り歩き、落ち着いたのがBizTalkやWindows SharePoint Services 3.0 (WSS 3.0)といったさまざまなシステムと連携する技術分野だった。

大阪在住ながら東京勤務。「行ったり来たりの落ち着きのない状況で家族には迷惑をかけている」と同氏。だが、技術面では多くの分野を担当してきた“落ち着きのなさ”が、同氏にとって大きな財産になっているようだ。